サクッとわかるビジネス教養 地政学
著者
奥山真司
出版
新星出版社
概要
新型コロナウイルス後、中国がより台頭する!? イギリスにとってEU離脱がチャンスな理由。 アメリカにとって超重要な沖縄基地。本当の世界情勢がわかる! 防衛のプロへも指南、地政学の第一人者が伝授
抜粋
- 歴史上、厳しい環境のハートランドの国は、豊かなリムランドにたびたび侵攻しており、リムランドの国と衝突しています。
つまり、地政学的には、リムランドは「ハートランドのランドパワー」と「周辺のシーパワー」という勢力同士の国際紛争が起こる場所なのです。
冬季には港や海が凍りつき、使えなくなるため、「南方へ進出すること」が地政学的戦略の大原則です。
2014年にロシアは、ウクライナの一部であるクリミアを併合しましたが、これには2つの思惑が見て取れます。
- 1つは「黒海ルート」の防衛。ウクライナ内戦に介入したロシア軍の圧力のなか、クリミアでロシアへの編入をめぐる国民投票が行われ、併合が決定。 クリミアにはセヴァストポリ港という軍港があり、黒海ルート防衛のためにロシアには欠かせない拠点だったのです。
- もう1つがNATO勢力との対立のため。ロシアにとって、ウクライナはNATO勢とのバッファゾーンにしておきたいエリアです。 そのため、ウクライナ国内に影響を持つためにも、クリミアは重要なのです。
感想
地政学とは地理的に衝突が頻発するアジア・中東・ヨーロッパという3大エリアで、
衝突に関係する国のふるまいの研究です。
今回は読んだ中でヨーロッパ(ロシア)について着目しました。
地球上のエリアによって「ハートランド」と「リムランド」に分けることができます。
「ハートランド」とは、文字通りユーラシア大陸の心臓部で、現在のロシアあたりのことです。
「リムランド」は、ユーラシア大陸の海岸線に沿った沿岸部で、温暖で雨量が多く、経済活動が盛んなエリアです。
他国に影響力を持つには「リムランド」の支配が重要です。
ロシアは冬になると海や港が凍る。
厳しい環境のハートランドの国です。
ハートランドの国はリムランドの国に侵攻して衝突します。
凍らない港があるからです。
クリミア併合に見られるように、凍らない港と
NATO(アメリカ等のリムランドの国を中心とした同盟)
からの圧力に対するバッファのために侵攻する。
地政学を知ることで、1つ1つの事件に対する
その時点における、一面的な見方だけでなく、
大局的な各国の思惑や戦略を知ることができる。
それを知れば、日本の戦略やこれからの利益の守り方
日常生活を営む上でも重要です。
それを知ることができる、大切な一冊であった。